JISLaD The Japanese Information System of Land Deformation
GPS地盤変動情報 第0号
2016 / 4 / 25
  1. GEONET観測網と菱形・三角形の網
  2. GEONET全点解析システム
  3. GEONET全点解析システムの座標値解と国土地理院F3解の座標値の比較
  4. JISLaDの概要
  5. 研究発表リスト
  6. 特許リスト
1. GEONET観測網と菱形・三角形の網
国土地理院では広域の地殻変動を監視するため、日本全国で約1300点のGNSS(一般にGPSと呼ばれている)データを観測するGEONET点を設置している。 そのGEONET観測点から、地盤情報を得るための基線網を作成した。基線網を作成する際、形がよいほど実際の変動に即しているため、菱形の網を基本とし、 形がよくなるよう、電子基準点を間引く、または三角形で補完した。基線網を精査し、最終的に、菱形の網977、三角形の網197の計1174の網を作成した (図1)。
図1:GEONET基線網
図1:GEONET基線網
2. GEONET全点解析システム
GEONET全点の日毎の座標値を得るために、観測データを毎日自動解析している。 解析プログラムとしては、米国マサチューセッツ工科大学とカリフォルニア大学スクリップス海洋研究所が中心となって 開発している世界有数のGNSS精密測位解析プログラム「GAMIT」を用いている。 解析方法としては、GEONET全点を地域毎の39グループに分け(図2)、グループ毎に座標基準点となるグローバルGNSS観測網 「IGS(International GNSS Service; 国際GNSS機構)観測網」によりGEONET観測点の毎日の座標値解を得ている。 次に39グループの解を統合して、GEONET全点の日毎と週毎の座標値解を得ている。
図2:解析グループ
図2:解析グループ
3. GEONET全点解析システムの座標値解と国土地理院F3解の座標値の比較
GEONET全点の座標値は、国土地理院でも毎日解析していて、その結果を現在「F3解」という名前で公表している。 GEONET全点解析システムの2013年1月から2015年6月までの期間の座標値解から求めた日本全国のGEONET観測点の速度と、 F3解の2013年1月と2015年6月との座標値解から求めた同じ観測点の速度を比較したのが図3である。 両方の速度の差は、北海道から九州・南西諸島まで、地域が変わると、少しずつ方向と速度が異なっていることが分かる。
図3:GEONET全点解析システムの速度分布とF3解の速度分布との差
図3:GEONET全点解析システムの速度分布とF3解の速度分布との差
4. JISLaDの概要
地盤情報システムでは、GEONET全点解析システムの各観測点の2つの日または週の座標値解の差から、下記の3つの異常変化を監視する。
・2つのGEONET観測点間の基線長(斜距離)変化
・菱形または三角形の面積変化
・菱形または三角形の歪み変化
このような監視の例として、箱根火山周辺の菱形・三角網の、2015年3月18日から6月10日までの期間の変化を、図4に示す。
赤線の基線の基線長と「!」印の三角網の歪み変化で異常が出た場所を示す。
図4:2015年3月18日~6月10日の箱根火山周辺における発色例 図4:2015年3月18日~6月10日の箱根火山周辺における発色例
図4:2015年3月18日~6月10日の箱根火山周辺における発色例
5. 研究発表リスト
  • GEONET全点連日自動解析システムの開発,日本測地学会第110回講演会,2008.
  • GEONET全点連日自動解析システムの開発(その2),日本地球惑星科学連合2009年大会,2009.
  • GAMITプログラムによるGEONET・IGS観測点の2011年東北地方太平洋沖地震の地震時変位,日本地球惑星科学連合2009年大会,2011.
  • GEONET・IGS 観測点の2011年東北地方太平洋沖地震後30日間の余効 変位,日本地球惑星科学連合2009年大会,2011.
  • GEONET全点連日自動解析システムの開発(その3),日本測地学会 第120回講演会,2013.
  • GEONET全点連日自動解析システムの開発(その4),日本測地学会 第124回講演会,2015.
  • 地盤情報システムの開発について,日本測地学会第124回講演会,2015.
  • 地盤情報システム(JISLaD)のGEONET基線網の作成と応用例について,日本測地学会第124回講演会,2015.
  • 地盤情報システムによるGEONETデータの精度評価,日本測地学会第124回講演会,2015.
  • 地盤情報システム(JISLaD)によって得られた最近の全国GEONET点速度ベクトル分布(2013.1~2015.6),日本測地学会第124回講演会,2015.
6. 特許リスト
  • 特許第3760102号.時空間三角網平均による宇宙測量法.特開2002-250624.2002-09-06.
  • 特許第5058594号.測位点推定装置および測位点推定方法ならびにそのプログラムと記録媒体.特開2008-164508.2008-07-17
  • 特許第4846779号.災害緊急地盤変動解析システム及び災害緊急地盤変動解析方法.特開2010-139335.2010-06-24.
  • 地盤情報システム、地盤情報処理方法、プログラム.特願2015-202409. 特許申請中
発行: 株式会社日豊