JISLaD The Japanese Information System of Land Deformation
GPS地盤変動情報 第6号
2018 / 7 / 30
  2018年4月9日の島根県西部の地震と6月18日の大阪府北部の地震に伴う地殻変動について

 2018年4月9日1時32分に島根県西部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生した。この地震により、最大震度5強の揺れが生じ(1)、重傷2名、軽傷7名の人的被害が出るともに、432棟の住家被害が発生した(2)。 また、同年6月18日7時58分、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生し、最大震度6弱の揺れになった(3)。この地震では、死者4名、重傷15名、軽傷419名の人的被害が出るとともに、全壊10棟、半壊181棟など多くの住家に被害が生じ(4)、さらに大都市の通勤時間と重なったこともあって、交通機関に大きな乱れが生じるなど、社会的に注目される大きなニュースとなった。 JISLaDデータを用い、これらの地震に伴う地殻変動について説明する。
 
1. 2018年4月9日の島根県西部の地震
 
 図1に島根県西部の地震の震源付近の電子基準点の地震前日の位置座標と地震翌日の位置座標の差のベクトルを示す。震央の約10km西側の電子基準点0386(大田)は1.1cm東南東に動いているのに対し、震央の北東側の電子基準点1021(佐田)は0.35cmと僅かであるが北北東に動いている。また震央の南東側の電子基準点0387(赤来)や1030(広島高野)は西か南西に動いており、このことから震央付近は東西短縮の変動が起こったことが分かる。このことは、地震の発震機構や余震分布から想定される北北西―南南東走向の左ずれ横ずれ断層によって生じた地震である(1)ということと調和的である。 この地震に伴う面積ひずみを図2に示す。わずかに震源の周辺の面積が減少しているように見えるが、その量はわずかで網の取り方も関係していることを考えると、必ずしも有意とは言えない。
図1:島根県西部の地震に伴う震源付近の電子基準点の変位
図1.島根県西部の地震に伴う震源付近の電子基準点の変位。
地震前日(4月7日9時―8日9時)の位置座標と地震翌日(4月9日9時-10日9時)の位置座標の差をベクトルで示している。
 
図2:島根県西部の地震に伴う震源付近の面積ひずみ
図2:島根県西部の地震に伴う震源付近の面積ひずみ。
図1に示す変位ベクトルより求めた。赤は面積増加、青は面積減少を示す。震源付近は面積減少が目立つが、網の選び方により変化する程度の量であり、必ずしも有意とは言えない。
 2. 2018年6月18日の大阪府北部の地震
 図3に大阪府北部の地震の震源付近の電子基準点の位置の変動ベクトルを示す。この地震による地殻変動は小さかったので、地震前日と翌日の座標の比較では変動が誤差が隠れてしまう恐れがあるので、地震前3日間と地震後3日間のそれぞれの座標位置の平均の差を示した。震央を囲む電子基準点0067(箕面)、0333(京都西京)、0335(交野)の変動を見ると、0067(箕面)は東南東方向に0.43cm、0333(京都西京)は東北東に0.45cm、0335(交野)は南南東に0.51cmと、東西方向の縮みや伸びは見られず、南北にやや伸びの傾向を示している。そのため、震央付近の面積ひずみを計算すると、やや膨張の傾向がみられる(図4)。 この地震は、初動解は東西圧縮の逆断層型であったが、余震の震源分布や発震機構から、震源の北側に逆断層、南側に横ずれ断層の2つのタイプの異なる断層が動いたものと考えられている(3)。基本的には東西圧縮の力による地震ではあるが複雑な断層の動き方をしたので、トータルの地殻変動は小さかったのであろう。
図3:大阪府北部の地震に伴う震源付近の電子基準点の変位
図3:大阪府北部の地震に伴う震源付近の電子基準点の変位。
地震前3日間(6月14日9時―17日9時)の位置座標と地震後3日間(6月18日9時-21日9時)の位置座標の差をベクトルで示している。震源の周りのベクトルを見ると、南北方向にやや伸びがみられる。

 
 
図4:大阪府北部の地震に伴う震源付近の面積ひずみ
図4:大阪府北部の地震に伴う震源付近の面積ひずみ。
図3に示す変位ベクトルより求めた。赤は面積増加、青は面積減少を示す。震源の北西側にやや面積膨張がみられるが、全体としての変動は小さい。

 
 
  3. 外部参照
 
 (1) 地震調査研究推進本部地震調査委員会:2018年4月の地震活動の評価.
 
 (2) 消防庁災害対策本部:島根県西部を震源とする地震による被害及び消防機関等の対応状況等(第14報)
 
 (3) 地震調査研究推進本部地震調査委員会:2018年6月18日大阪府北部の地震の評価.
 
 (4) 消防庁災害対策本部:大阪府北部を震源とする地震による被害及び 消防機関等の対応状況(第27報)
ホームページ:  JISLaD
発行:  株式会社日豊