検証

 Inspection

主な地震の結果等をご紹介します。

日向灘地震

Hyuganada Earthquake

Fig.1水平変動(Bernese)

Fig.2上下変動(Bernese)

Fig.3水平及び上下変動(GAMIT)

2024年8月8日に日向灘でMw7.0の地震が発生した。この地震により南海トラフ地震臨時情報が発表された。
この地震は日向灘の深さ31kmで発生した典型的な海溝型逆断層地震である。
 
GEONET観測点では地震時に、宮﨑点(021088)において水平成分・上下成分とも最大の変位を観測した。
GNSS解析プログラムであるBerneseソフトウェアによる地震時の水平変動をFig.1に、上下変動をFig.2に示す。また、同様のGNSS解析プログラムであるGAMITプログラムによる地震時の水平・上下成分の変動をFig.3に示す。
 
Berneseソフトウェアでは、IGS速報暦を用い、地震前は8月2日~7日の6日間の日値の平均、地震後は8月9日の日値を用いて、両者の座標値解の差を取って地震時変位とした。GAMITプログラムでは、同様にIGS速報暦を用い、地震前は8月1日~8月7日、地震後は8月9日~8月13日の日値解析解からKalmanフィルターを用いた時系列解析を行い、地震時変位のほか、地震後についてはrandom walkする余効変動が加わっていると仮定して地震時変位を求めた。
 
最大変位を示した宮﨑観測点のBerneseソフトウェアによる変位量は水平成分141mm・上下成分87mmで、GAMITプログラムによる変位量は水平成分137mm・上下成分76mmであった。また、ほとんどのGEONET点の水平変動は震央の方向に向かっており、ほぼpureな逆断層であった発震機構解と調和的である。また、上下変動は、宮崎県・鹿児島県・大分県の震源に近い地域では遠方に向かって減衰する沈降を示し、その先の遠方ではほとんど上下変動が見られなくなっている。このような上下変動についても、pureな逆断層モデルによるdislocation theoryから期待される変動を調和的である。

能登半島地震

Noto Peninsula Earthquake

令和6年能登半島地震の地震時地殻変動

2024 年 1 月 1 日に発生した能登半島地震(M7.6)は、近年の被害地震としては 2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)に次ぐ大きさで、2016年熊本地震(M7.3)の約3倍のエネ ルギーを持つ地震であった。地震は、能登半島北側の海岸線とその延長線上の直下で、ほぼ 完全な逆断層(縦ずれ断層)が動いたことにより発生した。

GEONET 観測点における地震時変動は、最大で輪島 2 点(020971 点)において水平成 分 2.0m、上下成分 1.3m を観測した。また、1cm を超える水平変動は、中部地方にとどま らず、東北地方南部から関東地方にまで及んでいる。なお、図中では、数字で表す GEONET 観測点名のうち、下4桁を記している。

この地震はほぼ完全な逆断層地震で、中部地方から東北地方南部までの本州はほぼすべ て断層の南側(上盤側)に位置しているので、震源から比較的遠い地域も含めて、水平変動 はほぼ震源方向に向かっている。一方、上下変動は、能登半島北部から富山県・新潟県・長 野県・関東地方の広い範囲が隆起しているのに対し、石川県南部から福井県・岐阜県・愛知 県・滋賀県・三重県にわたる範囲は沈降している。これは、逆断層運動による上盤側の典型 的な変動である。関東地方は隆起した地点が多いが、北関東から福島県にもわずかな沈降域 が見られ、まだらな分布になっており、これらの変動については今後の検討が必要である。

中部地方だけでなく、関東地方から東北地方南部に至る地域も、国内の位置の基準となる 測地成果 2000や測地成果 2011を見直す、新たな測地成果の定義が必要になる。

熊本地震

The Kumamoto Earthquake

地盤情報システムを用いて,20164142126分(JST)に発生した熊本地震の前震(MJMA6.5) 及び, 416125分(JST)に発生した本震(MJMA7.3)について地殻変動を算出したので結果をご 紹介します.(UTC41413時(41422JST)から41513時(41522JST)の24時間 のデータを臨時に解析しました。) 

Fig.1 本震時の水平・上下成分の変位

本震の水平・上下方向の地震時変位をFig.1に示します.水平成分の95%誤差楕円もプロットしているのですが,変動のスケールに比べて十分に小さいために,見えずらくなっています.図上の茶色の線は,国土地理院が推定した震源断層モデル(暫定) 上端の地上投影です.布田川断層北東端近くのCHOYO観測点,断層南西端の北方に位置するKUMAMOTO観測点,断層南西端の南方に位置するJOHNAN観測点,断層東方の3観測点,おおむね北方へ変位している断層北方のその他の観測点,おおむね南方に変位している断層南方のその他の観測点,これらの観測点の変位は布田川断層が右横ずれ変動をしたと考えたときの理論変位と調和的です。

 

 

Fig.2 本震時の面積ひずみ分布

 
 
本震において、それぞれ地震断層をまたがないように三角網を作り、面積ひずみを計算しました。本震のひずみ分布をFig.2に示します。阿蘇地域で70μstrain、熊本市沿岸地域で15μstrainの膨張、菊池市、益城町、西原村付近では数10μstrainの収縮が見られました。茶色で示した国土地理院が推定した震源断層モデル(暫定)の右横ずれ変動から期待される面積ひずみ分布と矛盾していませんが、一般の横ずれ断層モデルで計算される面積ひずみをきれいに示してはいません。これは観測点間隔が10km~20km程度と密度が粗いためと思われます。
 

前震の結果を含む詳細はまぐまぐから発行のメルマガ「GPS地盤変動情報」に載せてあります。
この内容は日本地球惑星科学連合 2016年大会で「地盤情報システムを用いてGEONET点から求めた熊本地震の地殻変動の解析」として5月25日、26日にポスター発表しました。